「未来の話」が「今の話」になった
2026年の最初の6週間だけで、IT業界で3万人超がレイオフされた。Amazonは過去最高益を更新しながら1万6000人を削減。Meta、Block、WiseTechなど業績好調な黒字企業が揃って数千〜数万人規模の人員削減を実行した。理由はどこも同じ——「AIによる組織の再設計」だ。
2025年の米国だけで見ても、AI関連のレイオフは55,000人に達しており、前年比12倍という数字が出ている。しかも直撃されているのは、かつて「AIに代替されにくい」とされていたソフトウェアエンジニア、プロダクトマネージャー、カスタマーサービスといった知識労働職だ。完全自律型のAIエージェントが資料作成・コーディング・定型的意思決定まで人間なしに処理する職場構造が、もう一般化しつつあるという。正直なところ、数年前は「まだ先の話だろう」と思っていた。それが2026年に入って、現在進行形の現実になっている。
「AI-washing」か本物の変革か——経営者を信用できるか
個人的に引っかかっているのが「AI-washing」の問題だ。多くの専門家が指摘するように、「AI導入による効率化」という大義名分のもとで行われるレイオフが、実際にはコストカットや過剰採用の修正を正当化するための便利な言い訳になっているケースが横行しているとされる。
「AIのせいで仕事がなくなった」という言葉は、株主向けには響きがいいし、社会的な批判も受けにくい。でも、それって本当にAIのせいなのか?
もちろん、BlockやWiseTechのように実際にAIエージェントを導入して手作業を削減した実例も増えている。自分もエンジニアとして、AI活用でコードレビューや定型タスクが劇的に効率化される感覚は実感している。だからこそ余計に判別が難しい。本当にAIで仕事が不要になったのか、それとも「AI」という言葉を盾にしているだけなのか——経営者の誠実さが問われている局面だと思う。
自分はこう思う。透明性のない経営判断に対して、労働者は今まで以上に批判的な目を持つ必要がある。特にエンジニアは技術の実態を理解できるはずだから、「それ本当にAIの仕事か?」と問い返せる立場にある。それは特権でもあり、責任でもある。
日本のエンジニアとして、今何を準備すべきか
欧米の話をしているうちに、日本にも波は来ている。外資系IT企業を起点に、採用抑制・自主退職勧奨・出社回帰という形で「見えにくい人員削減」が広がりつつある。正直なところ、日本社会はこの変化への準備が圧倒的に遅れていると思う。終身雇用・新卒一括採用という慣行の中で、「AIによる組織再設計」という概念は相当に異質だ。
自分がフロントエンドエンジニアとして、あるいはFlutter・Kotlin・Swiftを扱う開発者として感じるのは、「AIを使いこなして業務を再設計できる人間」への需要が確実に上がっているということだ。ツールが変わっても、設計の意図を持てる人間の価値は簡単には消えない——そう信じたいし、実際にそうだと思う。
- AIに置き換えられる仕事を自分が抱えていないか、正直に見直す
- 「AIを使う側」に立ち続けるための学習を怠らない
- 定型的な判断・作業に依存したキャリアから意識的に距離を置く
「AIに使われる人」と「AIを使う人」——この分断が新たな格差になる時代が来るとしたら、自分はどちら側にいたいか。答えは明白だ。ジムカーナで攻めのラインを選ぶように、エンジニアとしてもここは攻めていくしかないと思っている。